「氷巨人の爪(ヨトゥン)」
魔界の氷によって作られたこの剣は二つの鞘に納められている。
一つは、ただ剣を納める為の鞘。
もう一つは、「常識の楔」と呼ばれる、剣の力を納める鞘。
通常、この剣で斬られても血はでない。-273.15℃の刃が血を凍らせるからだ。
異様に冷たい、触れたモノを瞬時に凍らせる。ただそれだけの剣だ。たいしたことはない。
「常識の楔」に納められている間は。
「常識の楔」から抜かれた瞬間、剣は一気に-10000℃以下まで低下する。
剣の持ち主までをも巻き込んで、周囲を凍らせ、数秒後には地表の全てが氷に包まれる。
抜かない事だ。
抜けば、正義も不義も、浄も不浄も、全てが全て、氷に閉ざされる。
何も解決しやしない。